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【サマースクール2016レポート6】Minecraftで遊んでいたはずがいつの間にかプログラミングの世界の扉をたたいていた小学生たち
サマースクール2016では、小学校1年生-4年生を対象に、Minecraft(マインクラフト)でプログラミングの準備運動をしてみました。
テックパークキッズで導入しているのは、一般に知られているMinecraftの教材用バージョンである、MinecraftEdu(マインクラフトエデュ)です。
まずは、セットアップとチュートリアルを行いました。
タッチパネルの世界で生きてきた子供たちにとって、パソコンのキーボードとマウスでゲームの操作をするのは慣れが必要でしたが、チュートリアル用のワールドを突破していく中で、自然に指が反応するようになりました。
周囲の子たちで積極的にノウハウを交換しながら進んでいきます。
次に、ブロックの積み方を練習しました。きのこを増やしたり、
お手本のデータを改造して、ピラミッドの頂点に空中庭園を増築したりしました。
ここまでの内容は準備段階であり、家庭で遊ぶMinecraftとまったく同じものでしたが、次からはMinecraftEduの特徴である「タートルプログラミング」に入ります。
タートルプログラミングでは、上の図のようなタートル(亀)のブロックを操作・指示することで、基本的なプログラムの概念に触れることができます。
まずは、リモコン(Remote)を操作して探検してもらいます。
正しい順番で前進・反転・上昇などのボタンを使って、タートルを操作しなければ突破できないワールドを設定していました。
子供たちは
「タートルの気持ちになって考えよう」
「この子はどう動きたいんだっけ?」
とつぶやきながら、トンネルや川などを試行錯誤しつつ突破していきました。
次に、タートルプログラミングの「Program」に進みます。
この画面では、右上の命令ボタンを左の方眼部分に並べることで、その手順通りにタートルを動作させることができます。
前段階では自分で一つ一つ間違わないように押していたボタンを、「コンピュータに代わりに押してもらおう」ということで、「前に1つ進み、足下に1つブロックを置く」といった簡単な命令を組み合わせて、川に橋をかけたりして、ワールドを突き進みます。
簡単な繰り返し命令を使って、地下深くまでアイテムを探して掘り進めます。
「繰り返し命令をつかうより、自分で掘った方が早い!」
「自分で積んだ方が早いよ!」
と言っている子もいました。
しかし、
「すごい!タートルが僕の代わりに資源集めたり畑の収穫とかしてくれたら、僕ずっとお城作ったり冒険したりできるじゃん」
と感動している子もいました。
そうそう、『コンピュータに仕事を奪われる』ってそういうことなんだよ。
次に、今まで使った簡単な命令の組み合わせだけを使って、壮大なワールドを探検してもらいました。
「Turtle Canyon」と呼ばれる谷を、階段を作るタートルなどを駆使して抜けていきます。
かすんで見える橋の切れた部分まで、タートルにブロックを積ませて登っていこう!という目標で競い合いながら、それぞれ進んでいきました。
ところが最速でゴールに到達したのは、タートルにうまく命令してブロックを積んだ子ではありませんでした。
実はこのワールドでは、タートルを最大限に使ってもらうため、制限があります。
しかし、その制限でふさぎきれなかった穴を上手に突いて驚くべき早さでクリアした子が一人だけ居ました。
システムやルールの穴を見つけることは(犯罪で無ければ)重要で大変素晴らしいことです。
私たちの意図とは異なりましたが、勝利の栄誉は彼のものです。その方法はここでは秘密にしておきましょう。
また別の日には、「Turtle island」と呼ばれる島で、いろいろな階段の積み方を見た後に
自分のキャラクターの操作とタートルのプログラムとをうまく組み合わせて、様々な難関を突破していきます。
一つ一つに使っているテクニックは単純なものですが、組み合わせと発想の転換や空間認識能力が各所で必要とされています。Minecraftが得意な大人のサポートスタッフも、終盤に差し掛かるとウンウン悩みながら進んでいましたが、どんどん次に進んでいく子も居て驚きました。
現状を整理して、手持ちの単純なテクニックをうまく組み合わせて突破する、というのは、プログラミングに限らず、重要な体験になったのではないかと思います。
サマースクール2016のMinecraftEduでは、『プログラミングの準備運動』を意識しました。
MinecraftEduは、指導者が適切に課題を与えることができれば、楽しみながらコンピュータの操作自体に慣れることができ、低学年のお子さんにとってプログラミングの準備として触れるにはとても良い教材です。
ローマ字入力やタイピングを考えると、本格的なプログラミングは4-5年生から少しずつ慣れていくのが良いと思います。プログラミングに接するのが早すぎて、自分には向いてないと誤解したり苦手だと思ったりすることがないように気を配っています。
最初はゲームとして楽しみながら、私たちがうまくバランスを取ることで、その先に広がる「もっと楽しいプログラミングの世界」への入り口になればいいなと思っています。