TECH PARK | 福岡市 天神にある、テクノロジーと遊ぶアフタースクール(学童保育)

EN

お知らせ

ファブ3Dコンテスト2019にて、3年連続で特別賞を受賞しました

テックパークのコンピュータグラフィックスコースに通う小学4年生Tさんの作品「Interview at FUKUOKA city」が、ファブ3Dコンテスト2019のチーム部門にて特別賞を受賞しました!

ファブ3Dコンテスト_作品写真
今回受賞した作品「Interview at FUKUOKA city」

ファブ3Dコンテストとは、3Dプリンタなどの工作機械やIoTの技術活用・人材発掘を目的としたコンテストです。今年は、「ファブのあるまちづくり」をテーマに、SDGs(持続可能な開発目標)や地域の課題解決と新技術の可能性を結びつけ、ファブによってまちの未来をより良くするモノ・コト作りのアイデアを募集していました。

ファブ3Dコンテスト2019
https://www.fab3d.org/

今回はテックパークのあゆみ先生とTさんの2人でチーム部門に応募しました。作品の制作過程から受賞までをレポートします。

アイデアのタネを探す

大人でも難しい「まちづくり」というテーマ。そもそも「まちづくり」とは何か?という所から一緒に考えました。

「すごろくをつくってみたい」というアイデアをスタートに、色んなボードゲームを遊んで調べてみました。テックパークにはボードゲームマスターの先生がいて、選ばれた沢山の面白いボードゲームがあります。

ボードゲームの内容物をよく観察し、プレイヤーコマ、カードの種類や役割を調べて特徴を書き出しました。ボードゲームで遊ぶことは、友達同士でルールや楽しみ方を教えあうことが多いので、ルールを言語化し、相手に伝える力を身に付けます。

2人でアイデアを考える様子
ホワイトボードを使っていろんなアイデアを話し合いました

「SDGs」や「まちづくり」と大きく考えるとアイデアを出すのが難しかったので、まずは私たちが住んでいる福岡の街について注目しました。街の印象を書き出し、SDGsの取り組みを調べていくうちに、福岡を舞台にしたボードゲームの構想が浮かび上がってきました。

ゲームの内容は以下の通りです。
プレイヤーは新聞記者。福岡の街を飛び回り、地域の悩みを解決するために情報を集めます。情報を集めていると、警察官に職務質問されたり、家宅捜査されることもあります。警察官を上手くかわしながら、地域の情報を集めて新聞を発行できたらゲームクリア。このゲームは協力型で、各プレイヤーの特殊能力を活かしながら協力してゴールを目指します。


カタチにすることでアイデアを育てる

テックパークには、レーザーカッターや3Dプリンタなどの機材が揃っており、子どもたちのアイデアを形にできる環境と専門性を持ったスタッフがいます。ゲームで使用するカードを厚紙で試作し、紙に印刷したマップに書き込んでテストプレイを重ねながらブラッシュアップしていきます。

紙でプロトタイプを試作する
紙を使って試作を繰り返す様子

「このルールだとクリアできないね」「新しくルールを決めよう」など、試してみないとわからないことが沢山でてきます。何度もテストを重ね、段々とルールを明確にしていきました。

毎週金曜日のCGコースでは、2D/3Dのコンピュータグラフィックスに取り組みます。モデリングツールを使用して、基本的な平面図から3Dデザインの基本学習を行います。

ゲームで使用するプレイヤーコマを、「TinkerCAD」という3Dモデリングソフトで設計し、3Dプリンタで出力します。20分で1つのコマを出力できます。1度目の出力では、接着面が少なく、頭が体から取れてしまいました。データを修正して再度出力して完成。失敗してもすぐにやり直しができるのが3Dプリンタの良いところです。

締め切り直前まで何度も試行錯誤し完成することができました。最後に検証も兼ねてみんなで遊んでみることに。警察官をどうやってかわすか、最短距離で情報を取りに行くにはどうしたらいいかを相談したり、「ここに誰か情報取りに行って!」「その行動ナイス!」など、協力したり、お互いのプレイを褒めあいながら、クリアに向けて協力しながら遊びました。


表彰式にての講評

11月23日に東京ミッドタウンにて、コンテストの表彰式がありました。個人17件・チーム13件合計30件の応募があり、5つの作品が受賞。今回から、学生も社会人も部門が統一され、高校生の応募が多く目立つ中、唯一小学生の受賞となりました。

受賞者みんなで記念写真

審査員の方から、以下のように講評をいただきました。

「“モノづくり”だけでなく、“コトづくり”という観点もいれているのが素晴らしい。地域の課題発見とゲームの要素を掛け合わせており、これらの要素をフレームワークと捉えて、他の街でも同じことができそう。随所に使う楽しさが工夫されており、“職務質問”や“家宅捜査”などのユニークなルールも、大人には中々発想できない点で面白い。大人よりも子供が先にSDGsについて学び、年上の方にもSDGsについて教えてあげることができるのも良い

遊びながらSDGsや地域について学ぶことができるという点が、とても高く評価されました。実際に友達とテストプレイをした時も、楽しそうに遊びながら福岡のマップで都市をカードにして「朝倉市ってどこだろう?」と地理の勉強にもなりました。

友達に「おもしろい」と言って貰えることももちろんとても嬉しいことですが、今回受賞という形で評価されたのはTさんにとっても大変良い経験になりました。

みんなで遊ぶ様子
テックパークの友達みんなで遊んでみました(帽子は新聞記者をイメージ)

テックパークが目指すこと

「ボードゲームを作りたい」という純粋な気持ちが、今回の受賞に結びつきました。Tさんは自分の意思で選択し実行していたので、とても楽しんで取り組むことができました。

テックパークでは、自分で考えて答えをだすということを大切にしています。

学校で何か嫌なことがあったり、授業で疲れた時には「今日はアクティビティをやりたくない」という日もあります。そんな時は、強制せずに他に何をしたいか自分で考えて決めます。自分で考えて答えを出すと納得しやすく、自分の発言に責任も生まれます。自分のことなのに、誰か他人に責任をなすり付けてしまうことは、自分自身が成長できなくなります。

どんなことでも、子どものやりたいと思ったことを、一緒に調べて試して学ぶ姿勢を大切にしています。

私たちは、子どもたちの「学びたい」「つくりたい」という気持ちに寄り添えるように、今後もサポートしていきたいと思います。

具体的な作品制作の過程をfabbleでまとめていますので、興味のある方はぜひご覧ください。

https://fabble.cc/ayumiushi/interviewatfukuokacity